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鯛車の師匠、高橋さん。

前にも少しお話しましたが、私には鯛車の師匠がいました。
名前は「高橋哲男」さんと言って新潟市と巻町が合併する前の
旧巻役場で助役をされていた方です。
巻にある日帰り温泉「じょんのび館」の初代社長でもありました。
高橋さんは助役を退任されてから鯛車をつくり始めました。

私と高橋さんが10年前に初めて出会った時には
私はすでに自分の鯛車の形を完成させていました。

では、なぜ師匠と呼んでいるのかというと
私は高橋さんと出会う前から高橋さんの鯛車を毎日見てきたからなんです。
私が中学生の頃、母が1台の鯛車を買ってきました。
それが高橋さんの鯛車でした。

以前紹介した鯛車職人の長谷川さんが亡くなってから
鯛車をつくり始めた高橋さんは奥さんの実家が葬儀屋さんで
鯛車をつくって一時期、卸していたんです。

これもすごい巡り合わせです。
それからその鯛車は実家のリビングのテレビの横に飾られ
毎日その鯛車と顔を合わせる日が続きました。
そして、大学の卒業制作に鯛車をつくろうと思って
最初に頭に浮かんだのがその鯛車でした。
私は高橋さんの鯛車から図面を起こし、自分の鯛車を完成させました。
なので私のつくった鯛車は高橋さんの鯛車にそっくりです。
それはそうですよね(笑)間違いなく高橋さんは私の師匠です。
そしてプロジェクトに参加して鯛車をつくったみなさん、
みなさんのルーツは高橋さんの鯛車です。

唯一巻にいた鯛車職人の長谷川さんは独自のデザインが特徴的でした。
(長谷川さんの記事はこちら↓)
https://taiguruma.com/blog/2014/07/blog-pos-31

ただ、高橋さんは鯛車を研究し、昔ながらの鯛車を再現していました。
それはとても素朴でシンプルなものでした。

10年前の高橋さんと自作の鯛車。

高橋さんは初めて会った時に、初めて会った気がしないくらいに

写真の鯛車のようなとてもほんわかした優しい方でした。
私が鯛車を広めたいという話しをしたらとても喜んでくれたのを
憶えています。
高橋さんは町の人たちが誰でもつくれるようにしたい、
だからつくりやすいように鯛車をつくるための道具を
色々と研究していました。
昔から巻に伝わった素朴で「これが巻の鯛車」というのを
いつかつくりたいね、とその時話をしました。
それから私と高橋さんの関係ははじまり、高橋さんの家に通っては
お互いの技術を話し合ったり、鯛車に関する色々な話しを
聞かせてもらいました。私にとってその時間はとても貴重なものでした。
その高橋さんが昨年の8月に病気で亡くなりました。
いつも応援していてくれた高橋さん。
高橋さんはあまり表に出るような人ではありませんでしたが
私たちの活動をいつも影で支え続けてくれました。
このままだと高橋さんが残してきたものは
ほんの一部の人間にしか伝わらない。
だったら、高橋さんを紹介する展覧会を開こう。

そう考えてプロジェクトの皆川さんに相談して
高橋さんの展覧会を亡くなった1年後のお盆に
開催することにしました。
お盆だったら鯛車を観にくる、たくさんの人たちに
高橋さんの残してきたものを見てもらえますもんね。
長くなりましたが、次回にこの続きをお話します。
「高橋さんが私たちへ残してくれたもの」
高橋哲男展
この展覧会、当初会期が9月28日(日)までだったのですが
好評につき11月末まで延長になりました!!
まだご覧になっていない方、
鯛の蔵2階へぜひお越しください。
毎週、土曜の午後13時〜17時、
日曜は9時〜17時まで開催中です。
高橋さんを知ってみたい方、
私たちプロジェクトのルーツを知りたい方、
ぜひお越しください。お待ちしています。

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